「藻類」と総称される生物群は主として水中に生活し,太陽エネルギーを利用して酸 素発生型の光合成を行う生物と,それに関連した生物を含んでいる.体の大きさは,
顕微鏡的な単細胞で,鞭毛(べんもう)によって泳ぎ回るものから,海中に林のよう な景観を作る数10メートルの大きさになるものまでを含む.地球上の多くの部分を
占める水界で,光合成による基礎生産を担っている藻類は,陸上植物に劣らない重要 な役割を担っている.
藻類の生育場所は極めて多様で,大多数の藻類は水中に生活している.海に生育している大形の藻類を海藻とよび,川や池・湖で生活しているものを淡水藻と呼んでいる.
海に生育する大形の藻類の多くは岩や石などの硬い基物に固着している.潮汐の影響のある潮間帯から光合成が出来る光が届く深さまでが生育範囲である.
淡水域では湧き水のように温度変化の少ない場所,川の渓流域できれいな水が流れているところだけに見られるもの,湖沼のように水の流れの無いところに生育する種類もある.
浮遊性の生活をする単細胞性や群体性のプランクトンと呼ばれるものは,海にも淡水域にも極めて多数ある.
他の生物と共生するものとしては,渦鞭毛藻のあるものがサンゴ類の体内で光合成をしていて,褐虫藻とかゾーキサンテラと呼ばれているものがある.菌類と共生して地衣体を構成する藍藻類や緑藻類もある.
陸上の湿った土の表面や,岩の上・樹木の幹の表面に生育する種類もある. 生育温度に関してもさまざまで,雪や氷の上で,0℃に近い低温の場所から,温泉水が流れている高温のところに繁殖する温泉藻と呼ばれるものもある.
藻類として大まかにまとめられている生物群には,植物門や綱のレベルで区別 されるいくつかの異なった系統群を含んでいる.藻類群の間の違いを植物門や綱のレベルで認識する形質は光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて明らかにされる細胞の構造や,光合成に関係する色素の種類も重要視される.また,相互の系統的な類縁は
DNA の塩基配列の比較によっても知ることが出来る.綱のレベルで重要視される主要な形質にはつぎのようなものがある.
○核や細胞小器官の有無.
○クロロフィルの種類(クロロフィルa,b,c)と補助色素(ルテインやフコキサンチンのようなキサントフィル,フィコビリンと総称されるフィコシアニンやフィコエリスリンなど)の種類と組み合わせ.
○葉緑体の構造(チラコイドの重なり,フィコビリゾーム,葉緑体包膜の数).
○光合成同化産物(デンプン,ラミナラン,パラミロンなどの炭水化物).
○細胞壁の有無と細胞壁構成物質(セルロース,キシラン,ガラクタン,アルギン酸,寒天質,カラギーナンなどの高分子物質).
○核分裂の様式(分裂中期に核膜がなくなる開放型か核膜がなくならない閉鎖型)と細胞分裂の様式(フラグモプラストやファイコプラストと関連した隔膜形成や絞り込み型の隔膜形成).
○鞭毛を持った細胞の有無.
○鞭毛の種類(むち型や羽型)と数,形成される位置,鞭毛の小毛(マスチゴネマ)の構造.
○鞭毛基部の構造を含む鞭毛装置.