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日本のマリモの学名はこれまで Cladophora sauteri または Cladophora aegagropila
と呼ばれてきた。この種についての命名規約上の正しい名前は何かという問題に新しい展開が近年発表された。
阿寒町教育委員会学芸員の若菜勇さんを中心とする阿寒マリモ自然誌研究会のメンバーがヨーロッパ北部の湖沼の調査を1999-2000年に実施した。
リンネがスウェーデンのウプサラから30kmほど北にあるダンネモーラ湖産の標本に基づいて1753年に Species Plantarum
の中で Conferva aegagropila の名前を発表した.この湖には現在でも糸状体のゆるい集合体として湖底に散在して生育している。
この材料と阿寒湖産のマリモのDNA解析が試みられ,18S rRNA の塩基配列の比較から,これらが同種であると結論された。
リンネの Conferva aegagropila は Kuetzing によって1943年に Aegagropila
属に移された。植物命名規約では属名と種小名に同じ単語を繰り返すことができないため,Aegagropila linnaei という名前が与えられた。Kuetzing
は1849年にこの属を Cladophora に纏めてしまったので,後年になって Cladophora sauteri,
Cladophora aegagropila などといくつかの名前が使われるようになった。
分子系統の研究 (Hanyuda et al. 2002) によって,マリモはほかの多くのシオグサ属の種類とは別の clade に属することが明らかになり,Cladophora
とは離れた群であると結論された。この結果,マリモはスウェーデンや北欧の多くの湖に産するものと同じくAegagropila linnaei
と呼ぶことになった。
なお,近縁のタテヤママリモについては正式な記載もなく,学名も決まっていない。
(吉田 忠生)
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