| 東京大学海洋研究所共同利用シンポジウム |
| 流れ藻の分布と生態 |
| 2003年12月2日〜3日 東京大学海洋研究所講堂 |
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海面に浮遊する海藻や海草を「流れ藻」と呼んでいる.日本周辺では褐藻ホンダワラ類が流れ藻の大部分を占めている.この流れ藻には藻体に付着する独特な動物群があり,サンマ・サヨリ・トビウオ類が産卵基質として利用するだけでなく,ブリ稚魚などが発育の一時期を流れ藻の近くで過ごす.ブリ稚魚をモジャコと呼んで,流れ藻に随伴しているところを採捕して養殖するため,モジャコ漁業も重要である.
1950年代から流れ藻についての研究がはじまり,最近になって新たな視点から注目されるようになった.過去の研究を振り返って今後の展開を考えるシンポジウムが開催された. まず,1957年から九州大学で行われた九州北岸の流れ藻を構成する種類と季節的消長や移動に関する研究の報告(吉田忠生),魚類と流れ藻との関係についての報告(千田哲資)があった. 1980年代になってさらに広汎な調査研究が日本海沿岸(池原宏二)と四国沖(大野正夫)で実施された. 最近のモジャコ漁業について鹿児島県の状況(久保 満),伊豆半島沿岸の流れ藻(平田 徹)の詳しい分析結果が示された. 流れ藻の上には多様な無脊椎動物の群集が形成され,ワレカラ類などの変化もくわしく研究されていて興味深いものだった(青木優和). 東シナ海全域にわたる海流とマアジ仔稚魚の産卵場からの移動との関係についての報告もあり(金煕容),最近話題になっている中国大陸沿岸からの流れ藻についても現地調査と海洋学的な解析の結果が報告された(鰺坂哲朗・杉本隆成). 日本と中国の研究者の共同研究も始まり,今後の研究展開の見通しも議論されて,非常に有益なシンポジウムであった. このシンポジウムで発表された内容は,海洋出版株式会社の月刊「海洋」通巻408号として2004年6月に「総特集 流れ藻−分布と生態−」の表題で出版された. (吉田 忠生) |
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